【九州編】つきたて餅で作るご当地の名物餅5選|博多雑煮・ふつもち・かんころ餅・こっぱもち・ねりくり
はじめに:九州は丸餅と「混ぜてつく」餅の文化
九州のお雑煮は、丸餅を使う地域が多いです。関ケ原のあたりを境に、東は角餅、西は丸餅の地域が多いといわれます。
もう一つの特徴は、つきながら芋やよもぎを混ぜる餅が多いことです。干したさつまいもや蒸したさつまいも、よもぎを臼に入れて、もち米と一緒につきます。さつまいもの産地が多い九州らしい餅といえます。
この記事では、九州5県で食べられてきた名物餅を、つきたての餅から作る材料と作り方つきで紹介します。家族の餅つきや、町内会・園・会社の餅つきイベントで「ご当地餅の食べ比べ」をするときの参考にしてください。
分量はすべて目安です。地域や家庭によって材料や味付けは異なります。
1. 【福岡県】博多雑煮
どんな料理?
焼きあご(トビウオを焼いて干したもの)でとる「あごだし」のすまし汁に、小さな丸餅を入れる福岡・博多のお雑煮です。具はブリ・かつお菜・里芋・しいたけ・にんじん・かまぼこ・大根など。下ごしらえした具を1人分ずつ竹串に刺して用意しておく家庭もあります。具は家庭ごとに少しずつ違いますが、かつお菜は欠かせない具とされます。かつお菜は、かつお節のような風味があることが名前の由来といわれます。「勝男菜」とも書き、縁起がよいとされます。
準備するもの(4人分・目安)
- つきたての餅(小さく丸めた丸餅)… 8個
- ブリの切り身 … 4切れ(塩をふっておく)
- かつお菜 … 1/2束(手に入らなければ小松菜などで代用)
- 里芋 … 4個、干ししいたけ … 4枚、にんじん … 4切れ、かまぼこ … 4切れ
- 焼きあご … 2〜3尾(またはあごだしパック)、昆布 … 10cm
- 水 … 1L(干ししいたけの戻し汁を加えてもよい)
- 薄口しょうゆ … 大さじ1、塩 … 小さじ1/2、酒 … 大さじ1(味をみて調整)
作り方
- あごだしをとる:焼きあごを小さく折り、昆布と一緒に水につけ、冷蔵庫で半日〜一晩おく。弱火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出す。5分ほど煮出してから、こしてあごを取り出す。好みでかつお節を加えてもかまいません。
- 里芋・にんじんは下ゆでする。かつお菜はゆでて3cmほどに切る。干ししいたけは戻しておく。
- ブリはさっと湯通しして臭みを取る。
- だしにしいたけ・里芋・にんじん・ブリを入れる。ブリの中まで火が通ったら、酒・薄口しょうゆ・塩で味を調える。
- 丸餅は焼かずに、別の鍋でゆでてやわらかくする(博多雑煮では、餅を焼かずに煮たり湯でやわらかくしたりするのが一般的といわれます)。つきたてでやわらかい餅は、湯に通して温める程度でかまいません。
- お椀に餅と具を盛り、かまぼことかつお菜をのせて、熱い汁を注ぐ。
餅つきイベントで出すコツ
つきたての餅は、小さくちぎって丸めればそのまま丸餅になります。具は前日に下ごしらえして竹串に刺し、冷蔵庫に入れておくと当日がらくです。当日はだしで煮て、ブリの中まで火が通ってから盛ります。お椀に盛るときは、串を抜いてください。かつお菜は冬が旬で、福岡では年末から正月にかけて多く店頭に並びます。餅はのどに詰まりやすい食べ物です。小さなお子さんや高齢の方には小さく切って出し、先に汁を飲んでのどを潤してから、よくかんで食べるよう声をかけましょう。食べている間は、そばで様子を見守りましょう。
2. 【佐賀県】ふつもち(よもぎ餅)
どんな料理?
佐賀で「ふつ」はよもぎのことです。ふつもちは、ゆでてすりつぶしたよもぎを混ぜてついた餅で、あんを包んで食べます。春に芽吹いたよもぎの若葉を摘んで、各家庭で作られてきました。桃の節句(3月3日)には、菱餅の代わりにふつもちを供える家もあるといわれます。端午の節句や花祭りのお供えにもされてきたといわれます。
準備するもの(約30個分・目安)
- もち米 … 1升(約1.5kg)
- よもぎ … ゆでてしぼったもの200〜400g(色と香りの好みで増減)
- 重曹 … ゆで湯1Lに小さじ1程度(よもぎのアク抜き用)
- 塩 … 少々(ゆで湯用)
- あん … 600〜900g(1個20〜30gが目安)
- 取り粉(片栗粉)… 適量
作り方
- よもぎのやわらかい葉先を摘む。車通りの多い道ばたや、農薬・除草剤をまいた場所のものは避け、よもぎと確実に見分けられるものだけを使う。
- 塩少々と重曹を入れた熱湯で、よもぎがやわらかくなるまでゆでる。冷水に20分ほどさらしてアクを抜き、固くしぼる。細かく刻むか、すり鉢でする。
- もち米を水に一晩浸けて水を切り、蒸してから臼でつく。
- 餅がなめらかになってきたらよもぎを加え、色が均一になるまでつく。
- 取り粉をふった台に取り、約70gずつにちぎる。あんを包んで閉じ目を下にする。
餅つきイベントで出すコツ
冷凍よもぎや乾燥よもぎ(粉末)を使えば、季節を問わず作れます。使い方は商品の表示に従ってください。白い餅をついたあとによもぎを入れると、臼の中で餅が緑に変わっていく様子が見られます。子どもたちにも楽しんでもらえる場面です。あんは前日に丸めて冷蔵庫に入れておくと、当日は包むだけです。小さなお子さまには、ひと回り小さく作ると食べやすくなります。
3. 【長崎県】かんころ餅
どんな料理?
五島列島など、長崎県で作られてきた餅です。「かんころ」は、さつまいもを薄く切ってゆで、天日で干したものです。このかんころを水で戻し、もち米と一緒に蒸して臼でつき、砂糖を加えて細長い棒状にまとめます。食べるときは切り分けて、焼いて食べることが多いです。さつまいもの素朴な甘さが特徴です。小値賀島では、しょうがやごまを加える作り方も紹介されています。
準備するもの(棒状 2〜3本分・目安)
- もち米 … 5合(約750g)
- かんころ(干したさつまいも)… 500g(もち米との割合は家庭や店で異なります)
- 砂糖 … 100〜150g(かんころの甘さを見て調整)
- 取り粉(片栗粉)… 適量
作り方
- もち米を洗って一晩水に浸ける。かんころも水に浸けてやわらかく戻す。
- もち米と戻したかんころを蒸す(蒸し器に重ねて一緒に蒸してもよい)。
- 臼にもち米とかんころを入れ、杵でこねてから、全体がなじむまでつく。
- 砂糖を加え、さらについて全体に混ぜる。
- 取り粉の上で、直径6〜7cmほど(目安)の棒状にまとめる。
- 涼しい場所で一晩おいて固くなったら、1〜2cmの厚さに切り、焼いて食べる。
餅つきイベントで出すコツ
かんころは、近くの店で手に入るとは限りません。早めに入手先を確かめてください。手に入らない場合は、市販の干し芋で代用する作り方も紹介されています。当日はつきたてを小さくちぎって配り、棒状のものは持ち帰り用にします。小さなお子さんや高齢の方には、小さくして、よくかんで食べるよう声をかけてください。ごまを入れるときは、アレルギーの方がいないか事前に確かめてください。
豆知識:長崎県の島原地方には、丸餅・鶏肉・白菜・高野豆腐など多くの具を土鍋で煮る「具雑煮」があります。島原の乱で籠城したときに、餅と山や海の具を煮て食べたのが始まりといわれます(由来には諸説あります)。
4. 【熊本県】こっぱもち
どんな料理?
熊本県の天草地方に伝わる餅です。こっぱもちに使う「こっぱ」は、皮をむいたさつまいもを輪切りにしてゆで、天日で干したものです。名前は「小さく切る」「切れ端」という意味の方言からきているといわれます。
天草は平地が少なく、昔から米があまりとれなかったため、さつまいもが多く作られてきました。干したこっぱは保存食として重宝されたとされます。
こっぱともち米を蒸して臼でつき、砂糖と塩を混ぜてのばし、固まったら切り分けます。常温で日持ちするので、昔は各家庭でお正月用のおやつとして年末に作られていたといわれます。
熊本の名物「いきなり団子」は、さつまいもとあんを小麦粉の生地で包んで蒸したもので、つき餅ではありません。
準備するもの(もち米5合分の目安)
- もち米 … 5合(約750g)
- こっぱ(ゆでて干したさつまいも)… 約1.2kg(干した状態の重さ。割合は家庭で異なる)
- 砂糖 … 約800g(白砂糖に黒砂糖や三温糖を合わせるなど。種類や量は家庭や店で異なる)
- 塩 … 小さじ1
- 取り粉(片栗粉)… 適量
作り方
- もち米を洗い、一晩水に浸ける。こっぱは水で洗ってざるに上げ、半日ほどおく。
- もち米とこっぱを、それぞれやわらかくなるまで蒸す。
- 蒸したもち米とこっぱを臼に入れて杵でこね、こっぱがつぶれて全体がなじむまでつく。
- 砂糖と塩を加え、さらについてよく混ぜる。
- 取り粉をふった台や、もろぶた(浅い木箱)に、厚さ4cmほどの板状にのばす。棒状にまとめてもかまいません。
- 固まったら、食べやすい大きさに切り分ける。やわらかいうちはそのまま食べ、固くなったら薄く切って焼くと香ばしくなります。
餅つきイベントで出すコツ
干したさつまいもともち米を臼でつく点で、長崎県のかんころ餅とよく似ています。同じイベントで出すならどちらか一方にして、もう一方は豆知識として紹介するのがおすすめです。こっぱが手に入らないときは、市販の干し芋を細かく切って使う方法もあります(アレンジ。干し芋の甘さを見て砂糖を加減してください)。小さな子どもや高齢の方には小さく切って出し、よくかんで食べるよう声をかけましょう。持ち帰り用に配るときは、早めに食べきるよう伝えると安心です。
5. 【宮崎県】ねりくり
どんな料理?
餅と蒸したさつまいもをつき混ぜ、ちぎったり丸めたりして、きな粉をまぶした芋餅です。宮崎県の、主に都城市付近で食べられてきた郷土料理で、江戸時代から作られてきたとされます。地域によっては「ねったぼ」などとも呼ばれます。
昔は正月の餅つきで、最後の一臼にさつまいもを入れてつき上げていたとされます。餅つきイベントにぴったりの名物です。
準備するもの(ひと口大で50〜60個分)
- もち米 … 2合(約300g)
- さつまいも … 約1.2kg(皮をむいた重さ)
- 砂糖 … 80〜120g(さつまいもの甘さを見て調整)
- 塩 … ひとつまみ
- きな粉 … 適量(砂糖を少し混ぜてもよい)
※分量は目安です。さつまいもと餅の割合は、さつまいもが多めの3:1くらいがよいとされます。臼でつくときは、臼の大きさに合わせて同じ割合で増やしてください。さつまいもを入れると、全体の量は餅だけのときの約4倍になります。入れたあとも臼に収まる量にしておきます。
作り方
- もち米を洗い、一晩(目安)水に浸けてから水を切って蒸す。
- さつまいもは皮をむいて輪切りにし、竹串がすっと通るくらいやわらかくなるまで蒸す。
- もち米を臼でつき、餅らしくまとまってきたら、蒸したさつまいもと砂糖・塩を加える。
- さつまいもがつぶれて全体がなじむまでつき混ぜる。
- 温かいうちにひと口大にちぎり(丸めてもよい)、きな粉をまぶす。
餅つきイベントで出すコツ
白い餅をつき終えたあと、最後の一臼をねりくりにすると、昔の正月の餅つきにならった流れになります。さつまいもを入れる瞬間は、見ている人が盛り上がるところです。さつまいもを前日に蒸しておく場合は、粗熱をとってから冷蔵庫で保存し、当日は温め直して加えます。
小さな子どもや高齢の方には小さめにちぎって渡し、よくかんで食べるよう声をかけてください。きな粉は大豆が原料なので、大豆アレルギーの人がいないか事前に確かめておくと安心です。
6. 九州の名物餅を餅つきイベントで食べ比べるには
5つの名物餅は、どれもつきたての餅から作れます。
| 名物餅 | 当日に作りやすいか | ポイント |
|---|---|---|
| 博多雑煮 | ◎ | だしと具を前日に仕込めば、餅をゆでて入れるだけ |
| ふつもち | ◎ | ついている途中でよもぎを入れる。あんは前日に |
| かんころ餅 | ○ | かんころを戻す・蒸す準備が必要。切るのは翌日 |
| こっぱもち | ○ | かんころ餅と似た作り方。切るのは固まってから |
| ねりくり | ◎ | 最後の一臼でさつまいもを入れてつく |
たとえば「1臼目は博多雑煮、2臼目はふつもち、最後の臼はねりくり」のように臼ごとに名物を変えると、九州の餅文化をまるごと楽しめるイベントになります。かんころ餅・こっぱもちは、持ち帰り用にする方法もあります(早めに食べきるよう伝えましょう)。
餅つきQ太郎の餅つきイベントの様子



写真の参加者の顔はぼかしています。
餅つきの道具やスタッフは、餅つきQ太郎にお任せください
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安全のために
つきたての餅は、のどに詰まらせやすい食べ物です。小さなお子さまやご高齢の方には小さくちぎって渡し、先にお茶や汁物でのどを潤してから、よく噛んで食べるように声をかけてください。食べている間は、まわりの大人が見守ってください。
材料(大豆・ごま・小豆など)は掲示して、食物アレルギーのある方に知らせましょう。イベントで食品を出すときは、開催地の保健所に事前に確認してください(参考:餅つき大会に保健所の許可は必要?)。
