全国もち米図鑑① 甘み・粘り・コシで選ぶ、おいしい餅の品種12選
日本各地で栽培されるもち米には、たくさんの品種があります。
よく伸びるお餅、しっかりした歯応えのお餅、なめらかな口当たりのお餅、冷めても柔らかさが長持ちするお餅。
例えば、新潟県の「こがねもち」はコシと伸びのよさで知られ、北海道の「はくちょうもち」は冷めても柔らかさが長持ちするのが特徴です。
今回は、全国の代表的なもち米から個性的な品種まで12種類をピックアップ。甘み・粘り・コシなどの違いと、おすすめの食べ方を紹介します。
本記事を読めば、あなたの好みや食べ方に合うぴったりのもち米が見つかると思います。

「美味しいお餅」ってどんなお餅?

つきたての柔らかいお餅が好きな人もいれば、焼いたときのしっかりした歯応えが好きな人もいるでしょう。
そこで今回は、お餅の個性をもち米の品種ごとに6つの観点から見ていきます。
| 評価する特徴 | どんな違い? |
|---|---|
| 甘み | 噛んだときに感じる米本来の甘さ |
| 粘りの強さ | くっつく感覚や粘り強さ |
| なめらかさ | 舌触りの細かさ、ざらつきの少なさ |
| 米の味の濃さ | 米そのものの風味や余韻 |
| コシ・弾力 | 噛んだときの反発力や歯応え |
| 冷めても柔らかい | 時間がたっても硬くなりにくい性質 |
大切なのは、6項目すべてが強いほど美味しいとは限らないことです。
粘りの強さも、柔らかさも、食べる方それぞれに好みがあると思います。
まずは自分がどんな食の餅を食べたいのかを知ることが、お気に入りの餅を見つける第一歩です。
もち米の粘りが強い理由
普段食べている「うるち米」と「もち米」。
どちらも主成分はでんぷんですが、その構造が違います。
うるち米のでんぷんは、おおむねアミロース約20%、アミロペクチン約80%。
一方、もち米のでんぷんは、ほぼ100%がアミロペクチンです。
このアミロペクチンが、お餅ならではの粘りや伸びを生み出す重要な存在。
ただし、もち米同士でも、でんぷんの細かな構造や栽培環境などによって性質が異なります。
だからこそ、同じように蒸してついたお餅でも、食感に違いが生まれるのです。
全国のもち米図鑑|まず知っておきたい王道6品種

① こがねもち|新潟県を代表する高級もち米
注目ポイント:強いコシ・伸び・きめ細かさ
新潟県で育成された「こがねもち」は、全国的にも有名なもち米です。
名前の由来は、黄金色の稲穂。
餅にするときめが細かく、コシと伸びに優れ、特に切り餅への適性が高い品種として評価されています。
高級もち米の代表格として知られていますが、冷めても柔らかいことだけが長所ではありません。
しっかりとした歯応えを楽しみたい人にも注目してほしい品種です。
おすすめの食べ方:焼き餅・切り餅・お雑煮
② ヒメノモチ|岩手県を代表する、なめらかなもち米

注目ポイント:なめらかさ・コシ・自然な甘み
岩手県が主要産地の一つである「ヒメノモチ」。
白さときめの細かさが特徴で、餅にすると、なめらかな口当たりが楽しめるとされています。
コシがありながら、ふんわりした甘みも特徴の一つ。
こがねもちと同じく餅に適していますが、食感の特徴を比較しながら味わってみたい品種です。
なお、ヒメノモチは岩手県だけで作られているわけではありません。全国の複数地域で栽培されています。
おすすめの食べ方:つきたて餅・きな粉餅・おかき
③ ヒヨクモチ|佐賀県を代表する九州のもち米
注目ポイント:粘り・伸び・幅広い加工適性
九州の代表的なもち米の一つが「ヒヨクモチ」。
佐賀県では「佐賀よかもち」としても紹介されています。
JAさがによると、引きの強さや粘り、膨らみ、加工後の色つやなどに特徴があり、餅だけでなく和菓子やあられなどにも利用されています。
昔ながらの餅つきから米菓まで、用途の幅広さが魅力です。
おすすめの食べ方:つき餅・焼き餅・あられ
④ はくちょうもち|北海道生まれの柔らかさが魅力
注目ポイント:冷めても柔らかい・粘り
「お餅は冷めたら硬くなるもの」
そんな常識を少し変えてくれるのが、北海道の「はくちょうもち」です。
冷めても柔らかさが長持ちし、粘りが強いのが特徴。
北海道のもち米ブランドを長年支えてきた品種で、赤飯やおこわ、大福などにも使われています。
硬くなる速さに品種差があるのは、長年にわたる研究でも確認されているようです。
おすすめの食べ方:大福・赤飯・おこわ
⑤ みやこがねもち|宮城県の餅文化を支える品種
注目ポイント:粘り・コシ・なめらかな食感
宮城県を代表するもち米「みやこがねもち」。
白さやなめらかさ、粘りとコシを特徴として紹介されることが多い品種です。
宮城県は餅料理の文化が豊かな地域でもあり、餅をさまざまな味付けで楽しむ風習があります。
地域の食文化と一緒に知っておきたい品種です。
おすすめの食べ方:つきたて餅・雑煮・餅料理全般
⑥ わたぼうし|新潟県のもう一つの注目品種
注目ポイント:白さ・美しい仕上がり
新潟県のもち米は、こがねもちだけではありません。
「わたぼうし」は、餅の白さや外観品質に特徴を持つ品種。
名前には、新雪のわたぼうしのように白く、ふんわりした餅というイメージが込められています。
米菓への加工適性にも優れており、こがねもちとは違った魅力を持っています。
おすすめの食べ方:白餅・米菓
全国のもち米図鑑|特徴が面白い個性派6品種

ここからは、昔ながらの高級もち米や、特定の食感を目指して開発された品種を紹介します。
⑦ 滋賀羽二重糯|高級餅の世界で知られる伝統品種
注目ポイント:強い粘り・コシ・きめ細かさ
滋賀県の伝統的なもち米「滋賀羽二重糯(しがはぶたえもち)」。
高級和菓子の原料として知られる一方、実際に臼と杵でつく餅にも利用されています。
滋賀県が紹介する甲賀もち工房では、地元産の滋賀羽二重糯を使った餅つきが行われています。
強い粘りやコシ、きめ細かな食感が特徴として紹介されており、つきたて餅を味わう楽しさとも相性のよい品種です。
おすすめの食べ方:つきたて餅・白餅・高級餅菓子
⑧ 新大正糯|富山県を代表する高級もち米
注目ポイント:北陸の伝統・高級もち米としての評価
富山県の「新大正糯(しんたいしょうもち)」も、高級もち米として知られる品種となっており、北陸のもち米を語るうえで外せない存在の一つ。
伝統的な品種や産地の違いに興味がある人なら、一度は名前を覚えておきたいもち米です。
おすすめの楽しみ方:白餅として素材の味をそのまま
⑨ もち美人|加工のしやすさにも注目した岩手の品種

注目ポイント:切り餅への加工適性
名前から既に美味しそうな「もち美人」は岩手県で育成された品種です。
こちらは餅の食味だけに限らず、切り餅製造時の加工適性に特徴があります。
岩手県農業研究センターの研究報告によると、餅を加工する機械の杵頭やカッターの刃に付きにくい性質が確認されています。
美味しさだけではなく、作りやすさも品種改良の目的になるという、少し意外な例です。
おすすめの用途:切り餅などの加工品
⑩ ふわりもち|冷めても柔らかさが長持ち
注目ポイント:硬くなりにくさ・伸び
農研機構が育成した「ふわりもち」。
注目したいのは、冷蔵後の柔らかさです。
5℃で24時間保存した試験では、硬くなりにくい品種として知られる滋賀羽二重糯よりも、柔らかさが持続しました。
餅の伸びや食味も評価されており、「柔らかい餅が好き」という人にとって興味深い品種です。
おすすめの用途:大福・柔らかい餅菓子
⑪ やたのもち|大福の柔らかさを保つための品種
注目ポイント:時間がたっても硬くなりにくい
「やたのもち」も、農研機構が育成した個性的な品種です。
「マンゲツモチ」と比較した研究では、餅が硬くなりにくく、時間経過による柔らかさや食味の変化が小さいことが確認されています。
大福などの和菓子では、作った直後だけでなく、販売されるまでの食感も重要です。
そんな和菓子づくりの課題に応えるために開発されたもち米です。
おすすめの用途:大福・生菓子
⑫ ゆきみのり|早く硬くなることが長所になる品種
注目ポイント:米菓加工への適性
最後は、少し意外な品種です。
ほかの品種では「冷めても柔らかい」が注目されましたが、「ゆきみのり」は逆。
餅が比較的早く硬くなる性質を持ち、かき餅などの米菓づくりに適しています。
実は、餅を加工するときには、早く硬くなる方が扱いやすい場面もあります。
硬くなることは、必ずしも欠点ではない。
これも、もち米の品種ごとの違いを知る面白さです。
おすすめの用途:かき餅・米菓
一覧で比較!どんな好み・用途にどのもち米?
紹介した12品種を、特に注目したい特徴で整理しました。
| 品種 | 注目したい個性 | おすすめ |
|---|---|---|
| こがねもち | コシ・伸び | 焼き餅・切り餅 |
| ヒメノモチ | なめらかさ・コシ | つきたて餅 |
| ヒヨクモチ | 粘り・加工適性 | 餅・あられ |
| はくちょうもち | 柔らかさの持続 | 大福・おこわ |
| みやこがねもち | 粘り・コシ | 雑煮・つき餅 |
| わたぼうし | 白さ・外観 | 白餅・米菓 |
| 滋賀羽二重糯 | 粘り・きめ細かさ | つきたて餅 |
| 新大正糯 | 高級品種としての評価 | 白餅の食べ比べ |
| もち美人 | 機械加工適性 | 切り餅 |
| ふわりもち | 柔らかさの持続 | 大福 |
| やたのもち | 硬くなりにくさ | 和菓子 |
| ゆきみのり | 早い硬化・加工適性 | かき餅 |
※各品種の特徴や研究結果、産地団体の説明に基づく表となっておりますが、用途は必ずしもその品種だけに限定されません。
お餅のおすすめ食べ比べ方法
まず、食べ比べのおすすめは、まず何もつけずに白餅で味わうこと。
きな粉やあんこ、醤油などをつけると美味しい一方で、米そのものの味の違いは分かりにくくなります。
食べ比べでは、次の点に注目してみましょう。
- 一口目に甘みを感じるか
- 噛んだときにコシがあるか
- 舌触りがなめらかか
- 飲み込んだ後に米の風味が残るか
- 温かいときと冷めたときで食感がどう変わるか
なお、水分量や蒸し方、つき方が違うだけでも食感は変化します。
Q&A|もち米の種類と選び方

Q1. もち米と普通のお米は何が違うの?
でんぷんの構成が異なります。もち米には粘りに関係するアミロペクチンがほぼ100%含まれています。
Q2. もち米は品種によって味が違うの?
はい。品種によってでんぷんの性質や食感などが異なり、栽培条件によっても違いが生まれます。
Q3. 一番美味しいもち米は何ですか?
一つに決めることはできません。コシ、甘み、なめらかさなど、好みによって評価は変わります。
Q4. 一番粘りの強いもち米は?
品種間の比較には、同じ条件で測定したデータが必要です。全国すべての品種に共通する順位は確認できていません。
Q5. 高級もち米なら必ず美味しいの?
価格やブランドの評価には、希少性や生産・流通条件も関係します。高価だから誰にとっても一番美味しいとは限りません。
Q6. 冷めても硬くならないもち米はありますか?
まったく硬くならないわけではありませんが、ふわりもちややたのもちなど、硬くなりにくい特性を持つ品種があります。
Q7. 餅つきにはどのもち米がおすすめ?
こがねもち、ヒメノモチ、滋賀羽二重糯などが候補になります。食べたい餅の食感によって選ぶとよいでしょう。
Q8. 同じ品種なら産地が違っても同じ味?
必ずしも同じではありません。気温や栽培条件などによって、米の品質や餅の硬化特性に違いが出ることがあります。
Q9. もち米に水を多く入れれば柔らかくなりますか?
水分量は食感に影響しますが、餅が硬くなるのは水分が減ることだけが原因ではありません。でんぷんの老化も関係します。
Q10. もち米を混ぜて使ってもいいの?
用途に応じて複数品種をブレンドすることもできます。ただし、食感は配合や調理方法によって変わります。
自分好みのもち米を見つけよう!
全国には、さまざまな特徴を持つもち米があります。
しっかりしたコシを楽しむなら、こがねもち。
なめらかなつきたて餅なら、ヒメノモチや滋賀羽二重糯。
柔らかさが長持ちする餅に興味があるなら、はくちょうもちやふわりもち。
そして、米菓づくりには、早く硬くなるゆきみのりのような品種も活躍します。
美味しい餅に、たった一つの正解はありません。
品種の違いを知れば、いつものお雑煮や焼き餅、そして餅つき大会も、少し違った楽しみ方ができるはずです。
もち米の歴史や「糯」と「餅」の漢字の違い、産地によって食感が変わる理由などを紹介している第二弾コラム【もち米の歴史と産地の秘密】も、よろしければ参考にしてみてください。


